9月 丸池様と十六羅漢岩、遊佐町の水辺巡り

鳥海山の麓、庄内最北端の遊佐町。
幻想と神秘の神域、祈りと信念の磨崖仏、恵みの水紀行

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2021年9月某日

 遊佐町は庄内の最北端、そして鳥海山の麓に位置する。鳥海山の伏流水を水源とする湧水に恵まれ、1996年には国土交通省「水の郷百選」にも選定されている。今回はその中でも「丸池様」に着目。某雑誌に「一度は見たい日本の絶景」に選ばれた美しさを体感すべく旅を計画してみた。

 近くの海岸沿いには、日本海側随一のスケールといわれる磨崖仏「十六羅漢岩」。さらには名水「胴腹滝」、名瀑「一ノ滝」へ。まだ残暑が続くこの季節、鳥海山の水の恵み豊かな遊佐町を巡ってみたい。



目を奪われるエメラルドグリーンの水の色。
神秘と幻想の御神域「丸池様」。

 酒田市内から車で約40分。まずは牛渡川の箕輪鮭漁業生産組合前の駐車場を目指す。ここからお目当の「丸池様」までは徒歩数分。牛渡川の清流を眺めつつ小道を歩く。

 鳥海山からの清らかな湧水で満たされた小さな御池は、なんとも美しく神秘的な佇まいだ。透明なエメラルド色の彩はいつまで見ていても見飽きない。様々な雑誌で「一度は見たい絶景」と紹介されるのも頷ける。

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 「丸池様」の正式名称は「丸池神社」といい、鳥海山大物忌神社の境外末社にあたる。実は池そのものが御神体であり、古くから信仰の対象として大切にされてきた。地元の人たちは親しみをこめて「丸池様」と呼んだという。

 牛渡川の橋からは時季によってのぼり鮭の姿も見れる。国道7号線から丸池様へ向かう道の入り口はわかりづらく、また田んぼのあぜ道途中に道があるのでナビは必須だ。

■丸池様(まるいけさま)
●住所/山形県飽海郡遊佐町直世荒川57
●駐車場/あり(箕輪鮭ふ化場周辺 ※邪魔にならないようご配慮ください)
●参拝期間/参拝自由(通年)※冬期積雪のため通行不可の場合あり
●問合せ/0234-72-5666(NPO法人 遊佐鳥海観光協会)
●URL/https://mokkedano.net/spot/30180(庄内観光サイト)
     https://www.yuzachokai.jp/spot/yuusuigun/(遊佐鳥海観光協会)



荒波に洗われる岩礁に刻まれた22体の磨崖仏。
幕末から現在まで受け継がれる祈りの心「十六羅漢岩」

 「丸池様」から海側に向かう。10分ほどで国道345線沿いにある「十六羅漢岩」の駐車場に到着する。駐車場内には「サンセット十六羅漢」という食事処兼お土産品店も併設されており、アゴ出汁を使ったラーメンが評判だ。

 駐車場から国道を渡る橋を通って「十六羅漢岩」のある海岸へ。ここの岩礁は、鳥海山から噴出した安山岩溶岩で形成されており、そのごつごつした岩肌のあちらこちらに点々とに磨崖仏が刻まれている。

 十六羅漢とは、お釈迦様の入滅の際、仏法を護持して末長く人々を救済するよう命じられた16人の弟子を指すが、この16賢者に4仏・2僧を合わせた22体の磨崖仏、プラス1体の獅子像を見ることができる。岩礁に刻まれた磨崖仏でこれほどの規模のものは、日本海側ではここだけといわれる。

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 吹浦の海禪寺21代目石川寛大和尚が、海で命を落とした漁師の供養と海上の安全、衆生の救済を願って発願。地元の石工たちを指揮し、元治元(1864)年 から明治元年(1868)年にわたる5年の歳月をかけて掘り上げたという。 

 日本海の荒波に洗われて磨耗が進んでいるが、毎年7月下旬に開催される十六羅漢まつりでは、十六羅漢岩の前で海上安全祈願式典が行われる。展望台からは「飛島」も見えるパノラマ絶景も愉しめる。

■十六羅漢岩(じゅうろくらかんいわ)
●住所/山形県飽海郡遊佐町吹浦字西楯
●駐車場/あり(サンセット十六羅漢)
●問合せ/0234-72-5666(NPO法人 遊佐鳥海観光協会)
     0234-77-3330(サンセット十六羅漢)
●URL/https://mokkedano.net/spot/30007(庄内観光サイト)
     https://www.yuzachokai.jp/spot/jurokurakaniwa//(遊佐鳥海観光協会)



鳥海の海山の恵みが凝縮された立ち寄りスポット。
グルメもお土産も大満足、道の駅「鳥海ふらっと」。

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 十六羅漢岩から道の駅「鳥海ふらっと」までは約10分。酒田方面へ海沿いに車を走らせる。海産物や土産物等のショッピングのほかにファーストフードやレストランも充実。特に旬の海産物を目の前で焼き上げる実演販売は大人気。買ったものを組み合わせて定食にすることもできる。

 今回は駐車場の奥あるラーメンスポット「味の駅」でランチをとる。オススメの「海苔っ娘ラーメン」は岩のりがたっぷり。香り高い磯の風味と、上品な旨味のスープとの相性が抜群な逸品。「味の駅」に併設するベーカリー工房「ほっほ」も人気だ。

■道の駅 鳥海ふらっと(みちのえき  ちょうかいふらっと)
●住所/山形県飽海郡遊佐町菅里字菅野308-1
●営業時間/道の駅 9:00〜18:00(11月〜3月 9:00〜17:00) 
     直売所 9:00〜17:30(11月~2月 9:00〜16:30)
●定休日/12月31日・1月1日
●駐車場/あり
●問合せ/0234-71-7222
●URL/http://www.chokai-flat.com



遊佐を代表する湧水の名所。
岩肌から出ずる二つの滝「胴腹滝」

 鳥海山からの湧水に恵まれている遊佐町だが、特に美味しい水として古くから地元の人に愛されているのが「胴腹滝」だ。道の駅鳥海ふらっとからは、約20分ほどで行くことができる。

 県道60号線を北東に進むと、山林の道の左手に「胴腹滝」の駐車場と看板がある。道路に隣接しているのでわかりやすい。看板横の小道を入り、美しい杉林の中をしばし歩くと、朱塗りされていない端正な鳥居が見えてくる。

 この奥にあるのが「胴腹滝」だ。小さな祠を挟んで、2つの小滝が流れている。滝の水は段々と苔岩を辿り、小川に交る。この滝は鳥海山の伏流水が岩盤から湧き出たもの。ゆえに、通常の滝景色とはひと味異なった風情だ。

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 「胴腹滝」の名の由来は、岩から水が湧き出る様子から。身体の胴から湧き出て、腹部を守護するとの云われがある。安置奉るのは子安大聖不動明王。安産の守り神だ。ちなみに、左右の水はそれぞれ味が違うらしい(通の方曰く)。

 現在この一帯は里山環境保全地域となっているが、もとは修験者の行場だった。その名残もあってか、透明な静けさがある。静かでほの暗く、ひやりとした空間の美しさを実体験してほしい。

■胴腹滝(どうはらたき)
●住所/山形県飽海郡遊佐町吉出
●駐車場/あり
●問合せ/0234-72-5666(NPO法人遊佐鳥海観光協会)
●URL/https://yamagatakanko.com/attractions/detail_257.html(山形県公式観光サイト)



鳥海山の豊富な水源が生む名瀑。
ブナ林に抱かれた「一ノ滝」

 胴腹滝からさらに県道60号線の山道を車で進むこと約10分。「一ノ滝」駐車場に着く。道路もここが終点となり迷わないのだが、一の滝への入口が分かりにくいのでご注意のほど。駐車場手前にある鳥居が入口になる。

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 道を降りてゆくとやがて一之瀧神社に着き、神社を抜けた崖側に階段がある。そこを降りると轟々と音が大きくなり、展望ステップから囲まれた名瀑の姿を堪能できる。エメラルドグリーンの滝壺が美しい。

 本来は「二の滝」とツインとなのだが、ここから先の散策路は、足元が危うい様子だったため、今回(2021年9月)は断念。この「一ノ滝_・ニノ滝」は、前回訪れた「玉簾の滝」「十二滝」と合わせて「飽海三名瀑」とも称される。機会があれば是非リベンジしてみたい。

■一ノ滝(いちのたき)
●住所/山形県飽海郡遊佐町吉出
●駐車場/あり
●問合せ/0234-72-5666(NPO法人遊佐鳥海観光協会)
●URL/ https://mokkedano.net/spot/30458(庄内観光サイト)



夏の名残と秋の気配。
長月の湯野浜。

 初秋とはいえ、湯野浜の夕陽は秋の趣が日に々濃くなり鮮やかさも増してくる。日本海の波も、まだ穏やかさを残しながらも、少しずつ荒々しさへと表情を変えつつある。

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 ほのかな潮の香りを感じながら、この景色を間近に堪能できる貸切露天風呂。やわらかな湯に浸かりながらシャンパンなど愛でるのも至極の贅沢。

 お夕食は「海光る」の膳。海も山も豊穣の季節を先取りするようにお献立の彩に一段の趣が加わる。カサゴの杉板焼に添えられているのはアケビの鶏肉詰。山形牛のしゃぶしゃぶも絶品だ。

■游水亭 いさごや(ゆうすいてい いさごや
●住所/山形県鶴岡市湯野浜1-8-7
●駐車場/あり
●問合せ/0235-75-2211
●URL/http://www.isagoya.com/(公式)



【丸池様と十六羅漢岩、遊佐町の水辺巡りMAP】
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