3月 由良・三瀬・あつみ・鼠ヶ関 庄内海道巡行


湯野浜を起点に義経伝説の鼠ヶ関へ。
早春の庄内浜海岸線を巡行する。

鼠ヶ関から粟島裏を望★DSC00599.JPG弁天島★DSC00556.JPG
由良白山島★DSC00473.JPG三瀬の巨石★DSC01782.JPG念珠の松庭園★DSC00512.JPG念珠関跡★DSC00632.JPG
★DSC00077.JPG★DSC01060.JPG★DSC01426.JPG★DSC01488.JPG
2021年3月某日

 地吹雪で知られる庄内の厳しい冬も、3月には気候もゆるんで春の気配が訪れる。とはいえ、この季節の日本海はまだ荒波の名残を残して、ときおり荒々しい水しぶきをあげている。

 今回の旅は、この早春の日本海を右手に見ながら湯野浜から県境の鼠ヶ関まで海岸線を南下しながらたどる趣向だ。庄内の旅ではいつも中継ポイントとしてお世話になっている湯野浜温泉の游水亭いさごや」だが、今回はここを起点としてスタートしたい。



お雛さまの優しい笑みがお出迎え。
弥生の候のいさごやのおもてなし。

 いつものようにほっとするあかりに誘われると、ロビーに飾られたかわいい雛たちが訪う者に笑みをくれる。この時期ならではの出迎えだ。


★DSC00142.JPG★DSC00980.JPG
★DSC00132.JPG★DSC00134.JPG★DSC00911.JPG
★DSC01021.JPG★DSC00988.JPG★DSC01026.JPG
 山形県では旧暦でひな祭りを祝う風習が残されており、各家に代々伝えられてきた古い時代のお雛様も多いという。ギャラリーではそういった貴重な古代びなが飾られていた。

★DSC00497.JPG★DSC00259.JPG★DSC00239.JPG
★DSC00157.JPG★DSC00171.JPG
 今回も首尾よく海側の親をゲットできた。厳冬期ほどではないが激しく泡だつ波打ち際を、ぬくぬくとした部屋から眺めることができるのも贅沢の一つ。温泉街の海岸線にあかりがともる夕暮れの風情も良き。

★DSC01289.JPG★DSC00200.JPG★DSC01268.JPG
★DSC00173.JPG★DSC00586.JPG
  「庭園風呂 月水湯」でさっぱりとしたあと、「リラクゼーションルーム凛」で今回のお目当の一つSRスィング&リセットの施術を受ける。 

 これはからだを揺らしながらほぐすマッサージで、縮こまった箇所を優しく撫でるようにゆるませて、本来の姿勢に戻していく。決してゴリゴリ揉んだしない独自の方法だ。期待以上に相当に気持ちがいい。

★DSC01435.JPG★DSC01418.JPG★DSC01267.JPG
 夕食はダイニング「茶寮月岡」にて。魯山人のギャラリーも兼ねていて、そこかしこに魯山人の器や書画が。さそれだけでもうテンションがあがる。

★DSC01066.JPG★DSC01082.JPG★DSC01088.JPG★DSC01080.JPG
★DSC01133.JPG★DSC01208.JPG★DSC01240.JPG★DSC01255.JPG
 今夜の献立は「春を待つ」の膳。お雛様を型どった器など季節感いっぱい。ボリュームは控えめながら上質な食材を丁寧に作られたお料理はどれもこれもが至福の滋味。〆のちらし寿司やデザートも、優しげな色合いと美味しさで春めく一品だ。

 料理のおともにオーダーしたお酒はもちろん山形の地酒。入荷したばかりだという東根市・六歌仙の「山法師 純米爆雷辛口」。日本酒度はなんと+28!日本一辛いとのことだが、超すっきりした味わい。キレが良くて飲みやすい。

★DSC01323.JPG★DSC01311.JPG★DSC01384.JPG★DSC01374.JPG
 いさごやのお風呂Jは男女入れ替え制。「展望風呂 吟水湯」で朝風呂を堪能した後は朝食の時間だ。「弥生の朝」の膳をいただく。定番のようでいてぬかりがない優しいお味だ。

 会場は昨夜と同じ「茶寮月岡」。大きく切られた窓からは日本海が間近に迫る。これもまた美味しさの演出だろう。

★DSC01523.JPG★DSC01577.JPG
 出立前のひととき「ラウンジ飛水」で一服。季節メニュー(秋・冬)からホットチョコレート(500円)と庄内柿100%ジュース(500円)をチョイス。柿のジュースは初めてだが、思った以上に「柿」だった(笑)。いさごやではフリーWIFIが使えるので、ワーケーションにもおすすめだ。

■游水亭 いさごや(ゆうすいてい いさごや
●住所/山形県鶴岡市湯野浜1-8-7
●駐車場/あり
●問合せ/0235-75-2211
●URL/http://www.isagoya.com/(公式)



鳥居をくぐって詣でる島。
由良海岸のシンボル白山島。

由良白山島★DSC00474.JPG
 県立自然公園指定、日本の渚100選にも選出されている由良海岸までは、いさごやから車で20分弱。白山島はこの由良海岸の沖にぽっこりと浮かぶ高さ72mの小さな島だ。小さいながらも綺麗な円錐状で、山頂には白山神社が祀られている。

由良白山島★DSC00470.JPG由良白山島★DSC00385.JPG由良白山島白山神社★DSC00400.JPG
 陸と島の間には長さ177mの赤い橋。歩いて渡ることができる。入り口には鳥居が立っており、橋は参道でもあるというわけだ。橋をわたりきっすぐのところに神社へと続く石段がある。

由良白山島白山神社★DSC00407.JPG由良白山島白山神社★DSC00410.JPG由良白山島白山神社★DSC00416.JPG
由良白山島白山神社★DSC00417.JPG由良白山島白山神社★DSC01761.JPG
 この石段、260段もあるのでなかなかきついが、登りきった見晴らしは素晴らしい。お社は古いながらもきちんと手が入っており、代々大事にされてきたことがわかる。御祭神は菊理媛尊(くくりひめのみこと)・伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなぎのみこと)の三柱だ。

由良白山島★DSC00419.JPG由良白山島★DSC00436.JPG由良白山島★DSC00424.JPG由良白山島★DSC00446.JPG
 島をぐるりと周遊できる遊歩道があるのだが、この季節は波が高いせいか途中で通行止めとなっていた。入り組んだ岩に打ち付ける波は荒々しくて迫力がある。この日はふわふわ浮かぶ波の花も見ることができた。島には船着場や釣り堀もある。

由良白山島★DSC00455.JPG由良白山島★DSC01766.JPG
 由良海岸には出羽三山の開祖といわれる蜂子皇子にまつわる伝説も残っている。飛鳥時代、時の乱により都を逃れた蜂子皇子が船でたどり着いたのがこの地であり、その際に皇子を迎えたという八乙女の像が陸側の海岸に立てられている。

 そして「由良」の地名は蜂子皇子が船出した京都府由良にちなんだものだとか。ちなみに皇子を守って逃したのはかの聖徳太子だとのことだ。

由良白山島★DSC00463.JPG由良白山島★DSC00453.JPG由良白山島★DSC00479.JPG由良白山島★DSC00487.JPG
 1978(昭和53)年、由良沖合では、世界初の波力発電装置の実験もおこなわれた。その海洋人工島ポセイドンの錨も乙女の像の隣に置かれている。

由良白山島★DSC00392.JPG由良白山島★DSC00489.JPG
■由良海岸(ゆらかいがん) ・白山島 (はくさんじま)・白山神社 (はくさんじんじゃ)
●住所/山形県鶴岡市由良楯下
●駐車場/あり
●問合せ/0235-73-2250(由良温泉観光協会)
●URL/https://yamagatakanko.com/attractions/detail_2189.html(山形県公式観光サイト)
     http://www.yura-yamagata.jp( ゆらまちっく戦略会議(由良地区協議会))




小さな海岸にそそり立つ奇岩。
三瀬の巨石。

 由良海岸から三瀬海岸までは車で約5分ほど。ここは夏には海水浴場となる。箱庭のようなコンパクトさながら、奇岩怪岩の変化に富み、磯遊びのスポットとそしても隠れた人気とか。


 この海岸の一角にデンと構えるのがお目当の巨石。特に名前はつけられていないようだが、映えの点では申し分ないためか、観光写真などでたびたびお目にかかる。それにしてもでかい(笑)。


三瀬の巨石★DSC00498.JPG
三瀬の巨石夕日地蔵神★DSC01791.JPG三瀬の巨石★DSC00501.JPG

 このすぐ近くには「幻の中華そば」として有名な「琴平荘」がある。本業は旅館でありながら、冬場(10〜5月)は旅館を休業して中華そば屋になるというからユニークだ。この日もたいへん賑わっていた。猛烈に心引かれたが、時間のこともあるので後ろ髪をひかれながら次に向かう。


■三瀬の巨石(さんぜのきょせき)
●住所/山形県鶴岡市三瀬(三瀬海水浴場)
●駐車場/120台(駐車料金700円)
●問合せ/0235-73-3035(三瀬観光協会)
●URL/https://yamagatakanko.com/attractions/detail_2189.html(山形県公式観光サイト)
   https://www.tsuruokakanko.com/spot/208(つるおか観光ナビ




義経伝説・勧進帳の舞台。
…だったかもしれない「念珠関」。

 東北が蝦夷と呼ばれていた古代、鼠ヶ関には蝦夷防備のための関所「念珠関」が設けられた。時は流れて鎌倉幕府創成期、兄の源頼朝に追われた源義経の一行が奥州平泉へ向かう際にここを通ったと伝えられている。そして、歌舞伎十八番で有名な「勧進帳」のくだりは、まさに「念珠関」での出来事なのだとか。(勧進帳の舞台については諸説ある。)

念珠関跡★DSC01868.JPG念珠関跡★DSC00621.JPG
 この「近世念珠関址」は国道7号線沿の道端にある。江戸時代の荘内藩主酒井氏が、入部した1622(元和8)年以後にこの場所に移転・整備したものだ。それで、古代のものとと対比して「近世」と呼ばれているわけか。

 義経が通ったとされるもともとの関所は、新潟県との県境付近にあり、現在は「古代念珠関址」の石碑のみが残されているようだ。奥の細道で知られる松尾芭蕉も鼠ヶ関を訪れているが、その時にはすでに現在の場所に移築されていたと思われる。

 「念珠関」の歴史とネームバリューの割には、ほとんど観光地化されていないと言っていいのだが、それはそれでという気もする。ただ駐車場もないので、歩いて10分ほどの「マリンパークねずがせき」の駐車場利用をおすすめする。

■近世念珠関址(きんせいねんじゅぜきあと)
■近世念珠関址(きんせいねんじゅぜきあと)
●住所/山形県鶴岡市鼠ヶ関甲246
●駐車場/なし
●問合せ/0235-43-3547(あつみ観光協会)
●URL/https://yamagatakanko.com/attractions/detail_2309.html(山形県公式観光サイト)



白砂と臥龍松のコントラスト。
リアル日本画、念珠の松庭園。

 「近世念珠関址」から車でほんの1分ほど、歩いても数分の場所あるのが「念珠の松庭園」。地を這うように伸びる黒松の枝ぶりがとにかく見事で美しい。その長さはなんと20mにもおよぶ。

 約400年前、村上屋旅館・佐藤茂右エ門盆栽の松を地植えしたのがはじまりだというが、代々大切に手入れされ現在の姿に至るとのこと。

念珠の松庭園★DSC01842.JPG
念珠の松庭園★DSC01853.JPG念珠の松庭園★DSC01850.JPG
 村上屋旅館はすでに廃業となったが、平成6年に世界的に有名な造園家・中島健氏の設計により現在の庭園に整備された。白砂の上の黒松を中心に四季折々の植物が植栽されている。小さいながらも一見の価値があるスポットだ。

■念珠の松庭園(ねんじゅのまつていえん)
●住所/山形県鶴岡市鼠ヶ関乙126−10
●営業時間/4月~10月 9:00~17:00
     11月~3月 9:00~16:00
●休園日/なし(年中無休)
●料金/協力金 100円
●駐車場/マリンパークねずがせき駐車場利用(徒歩3分) 
●問合せ/0235-43-4617(鶴岡市温海庁舎 産業課)
     0235-43-3547(あつみ観光協会)
●URL/https://yamagatakanko.com/attractions/detail_1962.html(山形県公式観光サイト)
   https://atsumi-spa.or.jp/archives/meguru/nezugaseki(あつみ観光協会)
   https://shonai-yamagata.com/detail/187/index.html(庄内コンシェルジェ)




平泉へ向かう義経が上陸した地。
弁天島と厳島神社。

弁天島★DSC00573.JPG
弁天島厳島神社★DSC01862.JPG弁天島★DSC00562.JPG
 念珠の松庭園からも歩いてゆける距離にあるのが鼠ヶ関のシンボルとも言える弁天島。島には厳島神社が祀られている。現在は陸続きになっているが、かつては独立した島で、引き潮のときだけ渡って参詣できたという。

 ここにも源義経にまつわる伝説が残されている。兄・源頼朝の追討を逃れて奥州平泉を目指した頼経が、舟で上陸したのがこの弁天島なのだという。

弁天島厳島神社★DSC00536.JPG弁天島厳島神社★DSC00529.JPG弁天島★DSC00580.JPG
弁天島★DSC00539.JPG鼠ヶ関から粟島裏を望★DSC00614.JPG鼠ヶ関義経上陸の碑★DSC00617.JPG
 境内には「源義経碑」が建てられている。NHK大河ドラマ「源頼経」(1966(昭和41)年)にちなんだもので、作者村上元三氏の揮毫による。

 島に沿って周遊できる遊歩道も設けられているが、荒波のため途中で断念。海岸線に隣接するマリンパークねずがせきからも弁天島を眺望することができる。ここからの日本海もまた絶景だ。

 マリンパーク近隣の鼠ヶ関公民館前には「源義経上陸の地碑」がある。これも「源頼経」作者・村上元三氏の揮毫によるものだ。


■弁天島(べんてんじま)・厳島神社(いつくしまじんじゃ)
●住所/山形県鶴岡市鼠ヶ関字興屋
●駐車場/あり
●問合せ/0235-43-3547(あつみ観光協会)
●URL/https://yamagatakanko.com/attractions/detail_2015.html(山形県公式観光サイト)
   https://atsumi-spa.or.jp/archives/meguru/nezugaseki(あつみ観光協会)
   https://shonai-yamagata.com/detail/188/index.html(庄内コンシェルジェ)
   https://mokkedano.net/spot/30056(庄内観光サイト)

■マリンパークねずがせき
●住所/山形県鶴岡市鼠ヶ関地内
●駐車場/あり(海水浴場開設期間中は有料)
●問合せ/0235-44-2112(鼠ヶ関自治会)※平日のみ
●URL/https://yamagatakanko.com/attractions/detail_7920.html(山形県公式観光サイト))




あつみの海鮮を堪能する。
道の駅あつみ。

 国道7号線を少し引き返して「道の駅あつみ しゃりん」へ。お土産もお食事も日本海の景観も楽しめる。外観は海に浮かぶ舟をモチーフにしたユニークな形。温海地域在住の大工によって建てられたとか。内装も天井が高く木のぬくもりが存分に感んじられておしゃれ。

★DSC01835.JPG★DSC01834.JPG★DSC01832.JPG
★DSC01825.JPG★DSC01814.JPG★DSC00505.JPG
 お食事処ドライブイン早瀬でオーダーしたのは「めかぶラーメン」(700円)とおすすめの「日替わり丼」(1000円)。窓からの景色を楽しみながら「いただきます」。

 「めかぶラーメン」は想像以上にめかぶたっぷり!「日替わり丼」は地物のお刺身づくし。カレイ・ドコ・スズキ・酢あじ・たらこぶ〆・紅エビと豪勢だ。お味はもちろんいうことなし。今回も大満足の旅であった。

■道の駅あつみ しゃりん(みちのえきあつみ しゃりん)
●住所/山形県鶴岡市早田字戸ノ浦606
●営業時間/5月~8月/8:00~18:00  
               9月~4月/8:30~17:30
               ※食事処「早磯」は7:00~17:00
●休館日/毎月最終水曜日(7月、8月を除く) 12月31日、1月1日
●駐車場/24時間可
●問合せ/0235-44-3211
●URL/https://www.at-syarin.com(公式)
 

【由良・三瀬・あつみ・鼠ヶ関 庄内海道巡行MAP】
いさごやMAP2021春.jpg